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『THE TEAM』よりチームの本質について学ぶ③【理学療法士というチームについて】Communicationの法則

前回は『THE TEAM』よりチームを作る上で重要なABCDEの法則のうち、2つ目のBoardingの法則(人員選定)について『病院の理学療法士というチーム』としての考え方を解説しました。

初めから読みたい方は↓から

今回はABCDEの法則の3つ目であるCommunicationの法則(意思疎通)について解説し、理学療法士のチームにどう活用できるか具体例を示していきたいと思います。

Communicationの法則のポイントは以下の4つです。

Communicationの法則のポイント
  1. コミュニケーションの量は多すぎても少なすぎても良くない
  2. 適切なコミュニケーション量にするにはルールが重要
  3. ルール設定は4W1Hの5つにフォーカスして行う
  4. コミュニケーションは感情の共有も重要

①コミュニケーションの量は多い方がいいのか

一般的に『良くコミュニケーションを取りなさい』『よく話し合って決めなさい』などとコミュニケーションの量が多い方が、良いチームだと言われがちですが、本書では『多ければいいわけではない』と述べられています。

なぜなら、全ての事柄を決めるのに毎回話し合っていては、非常に効率が悪いからです。朝のミーティングは何時から始めるか、掃除は何時から始めるか、など毎回話し合って決めていては面倒臭いし、無駄が多いですよね。

②コミュニケーション量を減らすにはルールが必要

そのために、必要なのが『ルール』になります。

ルールを作る事で、無駄な話し合いが減りより円滑に仕事を進める事が可能になります。

しかし、勘違いしてはいけないことは、ルールをただ作れば良いというわけではないということです。

ルールを増やすということは物事への柔軟性が失われるということです。全てをルール化した世界を想像してみてください。

究極的にいえば

朝の掃除は何時何分から部屋の日が東側の床から秒速◯mの速度で◯Nの圧で◯分間かけてやる。

みたいなことになり、無駄をなくすためにルール設定をしたのにかえって無駄増えたということになりかねません。

③ルール設定は4W1Hの5つにフォーカスして行う

そこで、重要になってくるのがルール設定の方法です。

多すぎず、少なすぎず適切なルールを設定する必要があるわけですが、本書では『4W1H』を持ちた方法を紹介しています。

ルール作りにはこれら5つの要素を加味しながら作成する事が重要になります。

本書では、前回同様スポーツ種目による分類を用いて、考え方を示しています。

THE TEAMより引用

理学療法士のチームに当てはめる

まず適切なコミュニケーション量にするために、ルール設定をしましょう。

前提は

  • 病院における理学療法士のチームとして考える
  • 理学療法士のチームはやや駅伝型よりの柔道団体戦型(僕が考えるチームの場合)である(前回を参照)
  • 業務は理学療法、書類業務、雑務(掃除など)

とします。

これを4W1Hに当てはめていきます。

What(ルールの設定粒度)

柔道団体戦型では、ルールの設定粒度は低い方がいいとされています。

それは、個々で行う業務が多く全体として決めるよりは、個々の裁量で動いた方がよりスムーズに仕事が進むと考えられるからです。

そのため、ルールは細かく設定せず、個々に任せたほうが良いと考えられます。(個々の患者の評価は何をするかなど)

ただし、雑務(掃除など)に関しては、皆で連携して行う要素が強いので、ルールをしっかりと作りこんで行った方がいいでしょう。

Who(権限規定のルール)

先ほどと同様柔道団体戦型では、権限はメンバーにあった方が良いとされています。

これも、Whatの時と似ていますが、治療を変更するタイミングや内容を毎回リーダーに報告して、許可を取った上で進めていては全く治療が捗らないという例からもお分かりかと思います。

なので、権限に関しても基本的には個人にあった方が良いと考えられます。

Where(責任範囲のルール)

次に責任範囲のルールですが、駅伝型よりの場合は個人成果に責任を負うと良いとされています。

理学療法は基本的に個人個人で行うものなので、一人当たりの単位使用率◯%などといった目標を掲げ、それに対して個々で責任を負っていくのが良いでしょう。

ただし、医療の世界では、スタッフ側ではどうしようもない部分(患者に依存する部分)もあるので、その点は考慮が必要です。(◯日で杖で歩けるようにするなど)

How(評価対象のルール)

評価対象のルールは柔道団体戦型では、成果を評価するべきだとされています。

しかし、これに関しては疑問が残ります。

理学療法士の業務において成果を見るにはどうすれば良いでしょうか?

優れた理学療法を提供した場合とそうでない場合の差が大きく現れにくい分野では、個々のスキルで戦うといってもそれを評価するのが難しいと思うのです。(あの人が担当している患者はとんでもなく早く歩けるようになるってことはあまりないですよね)

よって、法則から外れてしまいますが、Howに関してはプロセスを重視すべきと考えています。

つまり、治療に対してどのような考えで行ったかを重視するというわけです。

これによって、評価が決まることで理学療法士は適正に自分が評価されていると感じるのではないでしょうか。

それが一番難しいわけですが・・・

When(確認頻度のルール)

進歩の確認に関しては、理学療法士は非常に難しいと思います。

なぜなら具体的な目標を提示する事が難しいからです。もちろん単位使用率などで具体的な数値目標を出すことはできますが、おそらくチームとしての目的からは外れたものとなるでしょう。

ちなみに、駅伝型よりのチームは確認頻度は少なくて良いとされています。

④コミュニケーションは感情の共有も重要

ここまで、コミュニケーション量を適切にするためにはルールが必要であり、効率良いコミュニケーション量を導き出すためのルールの設定方法についてお話ししてきました。

しかし、効率が良ければそれでよしというわけではもちろんありません

チームの信頼関係を築く上でも、コミュニケーションは必要です。

大切なのは、余計なコミュニケーションを省き、信頼を築く目的といった大切なコミュニケーションに使う時間を増やしていくということです。

本書では、お互いの理解を深めるための具体的な方法も詳しく解説されていますので、ぜひ手にとってみてください。

まとめ

コミュニケーションは多くても少なくてもダメで、適切な量を決定するためにルール作りが重要であるということ、そして無駄を省いて生まれた時間にお互いの信頼関係を深めるようなコミュニケーションを行なっていくと素晴らしいコミュニケーションが可能になります。

コミュニケーションについて、深めるきっかけにしていただければ嬉しいです。

ご覧いただきありがとうございました。

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