理学療法士のこうすけです。
以前に膝OAには運動療法がいいよーという話をしましたが、そこから一歩踏み込んで具体的にどんな負荷がいいのか検討した論文を今回は紹介したいと思います。
これは、2008年に国立台湾大学が行なったRCTでして、102人の膝OA患者を高負荷トレーニング群、低負荷トレーニング群、コントロール群(無運動群)に分け、その効果を検討したものです。
方法
介入期間は8週間でレッグプレスを用いて各トレーニング群は下肢の筋力増強訓練を行いました。各群の詳細については以下をご覧ください。
最近のトレーニング理論では、1週間あたりの総負荷量(重量×回数×頻度)の合計が等しければ効果も等しいとされており、この研究では総負荷量を調整するため、このような差になっております。
結果
では結果を見てみましょう。
- 疼痛(WOMAC pain scale)は運動群において大きく改善を示した。
- 身体機能(WOMAC physical function sub scale)は運動群において大きく改善を示した。
- 歩行時間における運動群の効果はスポンジ上での歩行時間において、最も大きな効果を示した。(コントロール群はどれも改善しなかった)
簡単にいうと、
『運動は低負荷でも高負荷でも痛みや身体機能にものすごく効果的だよ』
『高負荷と低負荷はどっちかというと高負荷の方が効果は高そうだよ』
というわけですね。
気になる点としては、102人を34人ずつに3グループに分けているのですが、高負荷群に分けられた被験者は3人が脱落して、低負荷群は一人も脱落しなかったことです。
ひょっとすると、高負荷であることが原因で痛みが強くなりドロップアウトしていたとするとそれは考慮すべきポイントなのかなと感じました。
あとは、高負荷群が30分でトレーニングを終了したのに対し、低負荷群は回数やセット数が多いため50分かかっています。
これは20分単位で区切られている我々理学療法士にはかなりの差となりますので、時間によって負荷量を調整する良い可能性があります。
とりあえず、痛みが強まったりしなければ、多少高負荷にチャレンジしても良いかもしれませんね。
参考になれば嬉しいです。
ご覧いただきありがとうございました。
参考文献
Jan, Mei-Hwa, et al. Investigation of clinical effects of high-and low-resistance training for patients with knee osteoarthritis: a randomized controlled trial. Physical therapy, 2008, 88.4: 427-436.