前回は『THE TEAM』よりチームを作る上で重要なABCDEの法則のうち、3つ目のCommunicationの法則(人員選定)について解説しました。
初めから読みたい方は↓から
今回はABCDEの法則の4つ目であるDecisionの法則(意思決定)について解説し、理学療法士のチームにどう活用できるか具体例を示していきたいと思います。
意思決定というのは、みなさんが日常で意思決定を毎日何十回としているのと同じようにチームにおいても意思決定は常日頃から行われています。
この意思決定について知ることで、納得のいく決断をできる限り早くする方法を学ぶことができます。
Decisionの法則のポイントは以下の3つです。
- 意思決定には3種類ある(独裁、多数決、合議)
- 3つの特性を活かした意思決定方法を選択する
- 意思決定において最も重要なのは選択を正解にしようとするチームのスタンス
Contents
意思決定には3種類ある(独裁、多数決、合議)
日頃チームが行なっている意思決定というのは、『独裁』『多数決』『合議』の3つに分かれます。
独裁は、チームのリーダーが決定権を握る方法であり、多数決は文字通りチームメンバーの中で選択した人数の多い方を選択する方法で、合議はチームメンバーでよく話し合った上でみんなで決定するという方法になります。
この3つの方法にはメリットとデメリットがあります。
それは、『納得感』と『時間』です。
上の図のように、合議は皆でじっくりと話し合って決定するため、チームメンバーの納得感が高くなる一方で、意思決定までの時間がかかる方法です。一方で、独裁はリーダーが決定権を持つため、意思決定までの時間は短くて済みますが、一人で決断するため、他のメンバーの納得が得られにくいという特徴があります。そして、合議と独裁の中間が多数決ということになります。
3つの特性を活かした意思決定方法を選択する
3つの選択方法があることが分かったら、次はチームが決めるべき物事を考えてみてください。
その物事は
- メンバーの納得感を得て行うことが重要なのか
それとも
- スピード感が重要なのか
これらによって、意思決定方法を変化させていくことが重要です。
個人的には、日本人には『独裁』という決定方法があっているケースが多いと考えています。
日本人の多くは、謙虚で自己主張が弱く迎合的です。そのような人たちが『合議』のように話し合って決定した場合、莫大な時間を消費してしまいます。そうなると、リーダーに決定権を与える『独裁』というやり方がマッチしている場合が多いと思うのです。
さらに、独裁と聞くと、ヒトラーやムッソリーニといった過去の政治家をイメージする方もいると思いますが、ここでいう独裁は意味が違います。
ここでいう独裁とは、リーダーが勝手に意思決定を下す訳ではなく、メンバーが意見を出し合い議論を重ねた上で最終的に決定するのがリーダーという仕組みのことをいいます。
よって、みんなで意見を出し合い、議論を重ねた上で最終的にリーダーを決定するのが基本的には良い方法だと考えます。
もちろんケースバイケースで方法を決定する必要がありますけどね。
理学療法士のチームが出会う意思決定のケース
それでは、理学療法士が働く上での意思決定のケースを紹介します
①理学療法部(リハビリテーション部)での経営方針を決定する(訪問リハ部門を立ち上げるなど)
この場合は、スピードと納得感とごちらが大事になるでしょうか。
経営方針をスピーディーに決定することは時代の変化の流れに対応する意味では効果が高いかもしれません。しかし、医療の世界は他の業界と比較し、変化のスピードがゆっくりです。
そうなると、スピードというよりはメンバーの納得感をを高めることでチームが一丸となって経営方針に従っていけると考えます。
よって、経営方針の決定では『合議』という決定方法を使用するのがあっていると考えられます。
②クレームがあった際の対応
理学療法士は人を相手にする職業なので、クレームに合うことがあります。
その際の対応方法はどう決定すると良いか。
これには、間違いなくスピード感が重要になります。
『ちょっと話し合ってきますのでお待ちください』
なんてことをしていたら、その人の不満はどんどん増幅し、問題はより大きくなってしまいます。
このような場合、メンバーはすぐにリーダーに報告を行い、リーダーがその場で最適な対応方法を選択するという『独裁』という決定方法の方が優れた意思決定方法になるでしょう。
意思決定において最も重要なのは選択を正解にしようとするチームのスタンス
ここまで、意思決定の3つの方法について解説し、その例を挙げました。
しかし、これはあくまで意思決定のベースにすぎません。
結局最後に重要なのは人です。
誰がどんな決定をしたとしても、チームメンバー全員でそれを正解に近づけていくことで、3つの選択肢の生死が決まります。
たとえ、最適な意思決定方法を用いたとしても、誰もついていかなければうまくいくものもうまくいきません。
例えば、スピード感のある決断を迫られた時に『独裁』という方法で意思決定を行ったとしても、他のチームメンバーが誰も協力しなければ、必ず失敗します。
そのため、意思決定に対する認識を皆で共有することが重要になります。
まとめ
今回はDecisionの法則(意思決定)について解説しました。
意思決定は、求められるスピード感によって最適な方法が異なりますが、何よりその意思決定を正解に近づけようとするスタンスが何より重要です。
参考になれば嬉しいです。
ご覧いただきありがとうございました。