理学療法士のこうすけです。
今回はTKA術前の理学療法が術後に影響を及ぼすのかどうかについての論文を紹介します。
これは2017年にグラスゴー・カレドニアン大学が実施したシステマティックレビューでして
採択された論文は10本(RCT)で
介入方法は筋力増強訓練や柔軟性に対する介入、鍼治療、教育、神経電気刺激療法が含まれていました。
ちなみに介入時間と頻度はばらつきがありますが概ね1回30分〜1時間程度、週1~週5回で合計介入回数は13回〜42回でした。
その結果は
- TKA術前の介入は効果があるとは言えない(無いとも言えない)
とめちゃめちゃファジーな結果となっていました。
その原因はいくつかありますが、一番は
それぞれの介入が最適な方法で行われていない
というのがあります。
筋トレだったら、どれくらいの負荷でどれくらいの頻度でなど効果的とされる方法はありますし、ストレッチにおいてもどれくらいの強さで何秒くらいが最適なのかという方法がありますよね?
これが、このRCTたちはガバガバなのです。
なので、そもそもTKA前の訓練によってオペ直前の機能が改善していたのかすら分からないということなのです。
効果の期待できない訓練を術前に行ったところで効果が出るわけがありません。
それに加えて、介入の合計回数もバラバラで時間もバラバラでは結論を出すことは難しいでしょう。
結果として、この10本の論文の中でTKA後の機能改善が示された論文は半分程度となりました。
この結果をどう捉えるかは基本的には二つとなります。
- 術前の理学療法介入は効果なし
- 術前の理学療法介入はまだ分からない(適切な介入がなされていないため)
術前の機能と術後機能との関連を報告している文献は結構ある(術前の膝伸展筋力、WOMACなど)ので、術前の機能を改善できれば術後もという気はするんですが・・・
今回の紹介は中途半端となってしまい、申し訳ございません。
参考文献
CHESHAM, Ross Alexander; SHANMUGAM, Sivaramkumar. Does preoperative physiotherapy improve postoperative, patient-based outcomes in older adults who have undergone total knee arthroplasty? A systematic review. Physiotherapy theory and practice, 2017, 33.1: 9-30.