理学療法士のこうすけです。
ここまで、『チーム』について、Aimの法則で、目標設定の方法を、Boardingの法則では人材の選び方を、Communicationの法則では適切なCommunicationの利用方法を、そしてDecisionの法則では意思決定について学んできました。
今回は最後の『E』。Engagementの法則(共感創造)について解説していきたいと思います。
- Engagementとは結びつきやモチベーションのことである
- Engagementの4Pを知り、それらを高めることが重要である
- Engagementを生み出すための方程式を利用し、高いEngagementを維持する
Contents
Engagementとは
まずEngagement(以下エンゲージメント)という単語について。
辞書では『約束、誓約、従事、没頭』などという言葉が出てくると思いますが、ここでいうエンゲージメントとはチームメンバーの結びつきやモチベーションのことをいいます。
簡単に言えば、『やる気』といったところでしょうか。
このエンゲージメントは非常に重要です。
適切な目標設定、人員選定、意思疎通、意思決定ができていたとしてもチームのメンバー個々のモチベーションが低い状態では良いチームとはいえず、何かを達成することもできません。
Engagementの4P
エンゲージメントについて知る時に4Pという考え方があります。
4Pとは、Profession(活動・成長)、Philosophy(理念・方針)、Privilege(待遇・特権)、People(人材・風土)のことをいい、これら4つのPによってエンゲージメントは構成されているという考え方です。
そして、4Pの総量を高めていくことで、チームのエンゲージメントを高めることができると本書では述べられています。
『成長ができて、理念に共感ができて、待遇も良く、雰囲気もいい』
こんな職場だったらみなさんのモチベーションも爆上げになることでしょう。
ただ、実際問題4Pのすべてを高めることは現実的ではありません。
そこで、もう一つの方法として、チームのエンゲージメントに適した人材を招き入れるということが挙げられます。
例えば、仕事内容とか人間関係はどうでもいいから、とにかく給料がいい会社で働きたいという人間には、そのような会社が適しており、その人にとっても会社にとってもwin-winな関係を築くことができます。
一方で、待遇を重視している会社に雰囲気を重視している人が入社した場合は、お互いの考えがマッチせず、lose-loseな関係となってしまいます。
Boardingの法則の時にもお話ししましたが、自分のチームを理解することが、メンバー選びにもつながり、結果として良いチームを作り出すことにつながるのです。
エンゲージメントを生み出す方程式
ここまで、エンゲージメントの4Pについて解説しました。
次は、このエンゲージメントをどのように活かしていくかについてです。
同じエンゲージメントを持ったチームとメンバーがいれば、高いエンゲージメントは期待できますが、それを持続させていくには、新しいエンゲージメントを生み出していくことが必要になります。
そこで、重要になるのが『方程式』です。
エンゲージメントを生み出す方程式は
エンゲージメント=報酬・目標の魅力(やりたい)×達成可能性(やれる)×危機感(やるべき)
で構成されます。
簡単にいうと、最終目標を提示し(やりたい)、それに向かって達成可能な行動を示し(やれる)、それができなかった場合のペナルティを課す(やるべき)といった形です。
こうすれば、サボる人間もやる気のある人間も両方ともエンゲージメントを高めることができます。
このように、チームが高いエンゲージメントを維持する仕組みを作ることも良いチームを作る上では重要です。
理学療法士のエンゲージメントを高めるには?
では、これらから理学療法士のエンゲージメントを高めるにはどう活用したらいいでしょうか。
やるべきことは3つです。
- 自分のチームの4Pを知り、その総量を高める。
- 4Pの強みに合う人材をメンバーに招く
- 高いエンゲージメントを維持するため、方程式を使用し仕組み化する
では1つずつ見ていきましょう。
自分のチームを知り、その総量を高める
ここでは、理学療法士のチームとは『病院の理学療法士のチーム(リハビリテーション科など)』を想定して話を進めていきます。
まず、Profession(活動・成長)では、ここにいれば成長できる、新しい活動を行うことができると思えればエンゲージメントは高まります。
なので、院内で質の高い勉強会を毎月行っていたり、プロスポーツ選手に理学療法ができたり、研究できたりといった環境を作ることができれば、Professionの部分のエンゲージメントを高めることができるでしょう。
次に、Philosophy(理念・方針)であれば、『急性期~生活期まであらゆる患者を幸せにする』のような魅力的な理念を立てることで、エンゲージメントは高めることができます。
Privilege(待遇・特権)は、理学療法士は難しいところです。
なぜなら、診療報酬で誰がやっても20分でいくらという設定になっているため、頑張って勉強しようが、適当にやろうが企業にもたらす利益は変わらないからです。
People(人材・風土)であれば、チームメンバーの雰囲気が良ければ、ただそれだけでエンゲージメントを高めることができます。
裏を返せば、それだけ雰囲気がいいといいうことはチームの武器になるということですね。
部署内の雰囲気というのはリーダーがコントロールできる部分も多々あるので、高められる部分のひとつでしょう。
4Pの強みに合う人材をメンバーに招く
このように、4Pの総量を高めることに力を注いだら、次にできることは4Pの強みに合う人材をメンバーに招き入れることです。
そこで、重要なのが、先ほど行なった自分のチームの4Pを把握しているかどうかです。
理学療法士のチームは絶対的にPrivilegeが弱いです。
なので、少なくともPrivilegeがとても強くエンゲージメントに影響するメンバー(とにかく高い給料が欲しい、お金にならない仕事はやりたくない)というメンバーは選ばないのが無難でしょう。
そもそも、そういう人は理学療法士を目指したりしないかもしれませんが・・・
そして、その他の4Pの中から、あなたのチームのエンゲージメントにマッチするメンバーをチームに選んでください。
高いエンゲージメントを維持するため、方程式を使用し仕組み化する
ここまできたら、あとは方程式を利用してエンゲージメントを維持する仕組みを作るだけです。
例えば、2週間に1回勉強会を開催しそれでひどい発表をした人は再発表をさせ、ダメなら減給みたいなことも面白いかもしれません。
これなら、より良い医療を提供したいという人はより頑張りますし、やる気が出ない人も嫌でも頑張る仕組みを作ることができます。
まとめ
今回は、ABCDEの法則の5つ目のEngagementの法則について解説しました。
素晴らしい組織にはモチベーションは欠かせません。
そして、そのためにはただ鼓舞したり、仲良くしたりするだけではなく、エンゲージメントの種類を把握し、それぞれを高めるように努める必要があります。
皆さんのチームのモチベーションは十分に高いでしょうか。
もしそうでなければ、これを機に自分のチームを見つめ直してみてください。
全5回のまとめ
今回まで全5回『THE TEAM』よりABCDEの法則を理学療法士というチームを当てはめてながら、解説してきました。
A、B、C、D、Eの法則のどれも、欠けてはいけないということが理解できたかと思います。
THE TEAMには、その他にも具体的事例が数多く収録されており、チームを理解する上でのバイブルといっても過言では無い名著です。
もしチームというものに興味を持った方は、その熱が冷めないうちにぜひ!!
僕の人生を変えた本の一つになりました。
めちゃめちゃおすすめです。
ご覧いただきありがとうざいました。