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『THE TEAM』よりチームの本質について学ぶ①【理学療法士というチームについて】Aimの法則

理学療法士のこうすけです。

今回は麻野耕司著:『THE TEAM 5つの法則』という本から、理学療法士というチームについて考えてみようと思います。

THE TEAM 5つの法則

まずはじめに、『THE TEAM 5つの法則』という本について。

これは、2019年に発売された『チーム』について書かれたもので、以前友人が読んで『かなりチーム作りに参考になるよ!』と僕にオススメしてくれた本です。

本書では『共通の目的がない集団』は『チーム』ではなく『グループ』であると述べてられており、

  • チームとは何か?
  • いいチームを作るにはどうしたら良いのか?

などを具体的事例を交えて非常に分かりやすく解説しています。

『チーム』についてここまで詳細かつ分かりやすく書かれた本は僕は他に見たことが無く、管理者だけでは無く、年数の浅い会社員の方にもぜひ一度手にとっていただきたい本の一つです。

今回は、『THE TEAM』を理学療法士という仕事に当てはめながら、僕なりに考える理学療法士という『チーム』の在り方について解説していきたいと思います。

尚、今回検討するモデルは『病院における理学療法士』のチームとします。

本来ならば、病院全体というチームの方がより良いのですが、話が大きくなりすぎると実生活のイメージが湧きにくいのと、現実的に変化させるのが困難な部分が多々あるからです。

悪しからず。

ABCDEの法則

本書ではチーム作りについて『A・B・C・D・E』の5つの法則に分けて解説しています。

Aimの法則(目標設定)とは

本書では、いいチームの条件として『目標を適切に設定するのがいいチームだ』と述べられており、Aimの法則とは、その目標設定の方法に関する法則のことをいいます。

目標設定には

  1. 意義目標・・・最終的に実現したい抽象的な状態や影響。(例:この地域で住む人に最高の医療を提供したい)
  2. 成果目標・・・チームとして手に入れるべき具体的な成果(例:最新のエビデンスを取り入れた理学療法を提供する)
  3. 行動目標・・・具体的に取り組むべき行動の方向性(例:週に1回は勉強会を開催する)

の3つがあり、意義目標はイノベーションは起きやすいが、具体的行動に繋がりにくいことや行動目標はその逆で、具体的にどうすればいいかは分かるが、それ以外の部分に目がいきにくく、変化をもたらしにくいというメリット・デメリットがあります。よって、意それぞれの特徴を活かしながら目標設定を行っていくことが重要となり、意義目標からトップダウンで実施していくとスムーズに実施することができます。

Aimの法則を理学療法士に当てはめる

では、理学療法士に当てはめてみましょう。

意義目標

理学療法士のチームにとっての意義目標とはなんでしょう?

  • 最高のリハビリテーションを届けたい
  • 患者さんの笑顔を創造したい

などが、挙げられるかと思います。

確かに、素晴らしい目標です。

ですが、この目標では『スタッフ』に対する目線が抜け落ちてしまう可能性が高いと僕は考えています。

例えば、『最高のリハビリテーションを届ける』ためには会議や勉強会など業務時間外に働くことが増えてしまうことが多くなり、患者のためにスタッフが消耗する病院になってしまう可能性が高いと考えられます。劣悪な職場では良いスタッフは育たず、結果として患者に還元されない可能性あります。

つまり、『患者』『スタッフ』両方の側面から見た目標が重要なのです。

では、どんな目標がいいか。

僕は

『スタッフにも患者にも最高な病院に!』

のような目標がいいのではないかと考えています。

これなら、患者だけでは無く、スタッフの疲労面や待遇なども考慮した目標になり、全員が同じ方向に向かって進むことができます。

もちろん、他の目標でもいいですがどちらにしても『様々な立場の人の気持ちも考慮した目標設定』というのが重要です。

このように、抽象的ではありますが、理想的な姿を思い描くような目標が意義目標になります。

成果目標

続いて、成果目標は具体的な成果としての目標を挙げるフェーズです。

理学療法士にとっての成果目標とは

  • 単位使用率◯%以上
  • 平均在院日数◯日以内
  • 残業時間◯時間以内

などでしょうか。

どうも、しっくりきませんね。

確かに、単位数が少なくては病院の経営はやっていけませんし、理学療法士の給料の向上も期待できませんが、スタッフ目線の目標でしかありません。

残業時間も非常にいい目標ですが、同様です。

平均在院日数に関しては、研究ではよく用いられる数値ではありますが、病院での目標設定としては適切ではないように思います。

早く退院したから必ずしも患者さんが満足するわけではないですからね。

基本的にスタッフ目線の目標になりがちかなと思います。

患者目線の目標を立てるとしても状態は個人によって違うため、チームとして統一した成果目標を挙げるのが難しい部分もあるでしょう。

もし、患者目線の目標設定をするとしたら、『最新の医療を患者に届ける』『患者の満足度を上げる』などの数値化しにくい目標となる可能性が高いですが、これは仕方がないかもしれません。

行動目標

次に行動目標です。

行動目標では、意義目標・成果目標から具体的な行動に繋がる目標を立てるフェーズとなります。

例えば

意義目標 『患者にとってもスタッフにとっても最高の病院に!』

だとして

成果目標 『単位使用率◯%』『残業時間◯時間以内』『最高の医療を届ける』『患者の満足度を上げる』

から行動目標を設定すると

  • 長時間の理学療法でより効果が期待できる場合は時間を長く取る
  • 無駄な会議や勉強会(症例検討会も含む)は極力無しにする
  • 最新の医学を理学療法に取り入れるため、隔週で勉強会を開催する
  • アンケートを実施し、改善点を募る

などといった具体的な行動に落とし込むことができるようになります。

まとめ

目標設定は『チーム作り』する上で非常に重要な要素の一つです。

そして、目標設定は『意義目標』『成果目標』『行動目標』のようにトップダウンで実施していくことで、それぞれの目標の特性を活かして最適な目標を立てることができます。

続きのBCDEはまた次回に解説したいと思います。

参考になれば嬉しいです。

ご覧いただきありがとうございました。

【参考著書】

麻野耕司著:『THE TEAM 5つの法則』

THE TEAMが気になった方は↓からどうぞ。