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膝OAには食事療法と運動療法の併用が効果が高い【RCT】

理学療法士のこうすけです。

以前に膝OAのエビデンスを紹介した際に、『体重減少はものすごく膝OAの人に効果があるよ』というお話をしたんですが、実際にはどんな介入をしたのかなど詳細については説明していなかったため、今回もとをたどって紹介していきたいと思います。

元になった論文は、アメリカにあるウェイク・フォレスト大学が2013年に行なったものです。

Contents

方法

454人の膝OA患者(BMI27~41、K-L分類2~3;軽度〜中程度のOA)を対象に運動療法群食事療法群運動+食事療法群の3群に分け、その効果の違いを検討したRCTです。

介入期間は18ヶ月間(1年半)で具体的な介入方法は以下の通りでした。

なので、かなり太った軽度〜中程度の膝OAに対する食事と運動の影響を見た研究ということですね。

OUTCOME膝圧縮応力、インターロイキン-6、WOMAC、SF-36、6分間歩行、体脂肪量(DXA)で、ベースライン、6ヶ月後、18ヶ月後の3回測定を行いました。

結果

結果は以下の通りとなりました。

  • 食事制限グループ(食事療法、食事療法+運動療法)は運動療法単独と比較し、大幅に体重が減少した(食事:9.5%、食事+運動:11.4%、運動:2.0%)
  • 膝圧縮応力は全てのグループで減少した
  • インターロイキン-6は食事制限グループ(食事療法、食事療法+運動療法)で大幅に改善した
  • 疼痛は食事療法+運動療法群は食事療法単独、運動単独療法より痛みの軽減に効果的だった
  • 体重の10%の減量に成功したものはそれ以下の減量幅の者と比較し、膝の圧縮応力、インターロイキン6、疼痛が少なかった

インターロイキン6とは全身性炎症マーカーで、2.5pg/ml未満であると、運動障害やメタボリックシンドロームが減少すると報告されており、OAとも関連があるとされているサイトカインです。

やはり体重は食事制限が一番効果があり、それに伴って膝圧縮応力も減少しインターロイキン6も減少するという結果になりました。

 

また、疼痛に関しては、食事+運動の併用が最も効果が高いという結果になりました。

 

理学療法の分野では職業上運動療法にフォーカスがいきがちですが、食事と運動を組み合わせることで、より高い効果が期待できるかもしれません。

 

また、体重に関してはこの研究でもベースラインの10%の減少での効果を認めていますし、この値は国立衛生研究所でも推奨しているので、目標は10%の減量に設定してみるのが良いかと思います。

 

ただ、懸念材料が無いわけではありません。

それは高齢者の体重減少は筋肉量の減少にも繋がるとされており、筋力低下は転倒リスクを上昇させると言われているからです。

この研究では除脂肪体重の減少すなわち筋肉量の減少は見られませんでしたが、減量のペースが早すぎると筋肉量の減少を招くことにつながるため、もし介入するのであれば、ペースを速めすぎないような指導も必要になるかもしれません。

目安としては米国国立心臓・肺・血液研究所が推奨している6ヶ月間で10%の減量くらいが良いのでは無いかと思います。

参考になれば嬉しいです。

ご覧いただきありがとうございました。

参考文献

Messier, Stephen P., et al. Effects of intensive diet and exercise on knee joint loads, inflammation, and clinical outcomes among overweight and obese adults with knee osteoarthritis: the IDEA randomized clinical trial. Jama, 2013, 310.12: 1263-1273.

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