理学療法士のこうすけです。
今回は凍結肩の患者に対してストレッチに加えてホットパックやジアテルミーを行うとより良い効果は得られるのかという研究について紹介していきます。
これは、2008年に香港理工大学が行ったRCT(単一盲検法)でして、
30名の男女を
- ストレッチ群(10名)
- ストレッチ+ジアテルミー群(10名)
- ストレッチ+ホットパック群(10名)
の3つに分け、ストレッチ群はストレッチのみを行い、ストレッチ+ジアテルミー群はジアテルミー直後にストレッチを実施、ストレッチ+ホットパック群はホットパック直後にストレッチを行いました。
すべての介入は週3回4週間施行し、ジアテルミー・ホットパックはどちらも1回20分間実施しました。
ストレッチは、肩関節外旋→屈曲→内旋→水平内転の順に実施し、それぞれ30秒×4セット(間は10秒)実施しました。
OUTCOME指標はAmerican Shoulder and Elbow Surgeons(ASES)、ROMでした。
- 患者の自己評価と医師の評価に分かれている
- 自己評価(VAS、ADLを評価)
- 医師の評価(ゴニオメーターやメジャーを使用した可動域測定)
- 信頼性、妥当性が高い評価方法
その結果はというと
- ASESにおいてはストレッチ+ジアテルミー群が63.4%、ストレッチ+ホットパック群が45.2%、ストレッチ群が38.4%の改善を示した。(すべての群で改善を示した)
- ストレッチ+ジアテルミー群はストレッチ群と比較し、有意にASESが高かった。
- ASESにおいてストレッチ+ホットパック群とストレッチ群との間に有意差は認められなかった。
- ROMに関しても、ストレッチ+ジアテルミー群において、良好な結果となった。
となりました。
ジアテルミーおそるべし・・・というところでしょうか
皆さんの勤務先に超短波ジアテルミーはおいてありますかね?
他の機械と干渉したりするんでなかなかおいてない施設も多いのではないでしょうか?
僕の勤めている病院にもないんですが、この結果を見ると、試してみたくなりますね。
先行研究でも、組織温の上昇と組織の伸張性との関連が示されていますし、ジアテルミーの組織温の上昇効果も認められているため、結構筋の通った治療のような気もします。
ただ、この温度上昇効果は7分程度しか持続しないとも言われており、この知識を応用して超音波療法など試す方は、施行後早急にストレッチを開始することを忘れないでください。
のんびり機械を片付けたりしていると、すぐに数分経ってしまいますので・・・
ホットパックに関しては、有意差は無かったので、やってもやらなくてもどっちでもいいとは思いますが、一応ホットパックを追加した方が改善する傾向にはあったので、試してみるのはいいかもしれません。
皆さんの臨床の参考になれば幸いです。
参考文献
LEUNG, May SF; CHEING, Gladys LY. Effects of deep and superficial heating in the management of frozen shoulder. Journal of rehabilitation medicine, 2008, 40.2: 145-150.
[…] 効果的なものとしては『ホットパック』『ジアテルミー』『レーザー』などの温熱療法や”高負荷でない”『運動療法』、モビライゼーションなどの『徒手療法』がRCTなどでも有効性が示されています。ただし、同じ温熱療法である『超音波』は効果が無いことが示されているというのも知っておくべきポイントでしょう。システマティックレビューは2002年と2003年に理学療法の効果ということで発表されていますが、単体の介入に対するものは現状見当たりませんでした。 […]