理学療法士のこうすけです。
今回は『凍結肩には運動療法と干渉波や電気鍼の組み合わせは有効か』を調べた研究を紹介します。
これは、2008年に香港理工大学が行ったRCT(二重盲検法)でして、
70人の男女を『運動+電気鍼』『運動+干渉波』『無治療』の3群に分けました。
『運動+電気鍼群』『運動+干渉波群』の被験者は実験開始時に1日5回、フォローアップまでの6ヶ月間以下の運動を行うように指示されました。
- プーリーを使った肩屈曲運動
- 棒を使用した肩関節外旋方向へのストレッチ(1stポジション)
- 肩水平内転ストレッチ(腕を胸に近づける運動)
- タオルを患側で持ち、そのタオルを反対側の手で背中側から引っ張るような運動(肩関節内旋ストレッチ)
他の介入方法は以下の通りでした。
- 電気鍼は4週間で10セッション(週に2〜3回)で1回20分トリガーポイントに実施
- 干渉波は4週間10セッション(週に2~3回)で1回20分実施。周波数は80−120Hzで肩周囲に4つの電極を貼付
- 無治療群は特に何も介入せずベースライン時と4週間後に評価を実施
評価はベースライン時、4週間後(治療終了後)1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後に実施しました。
評価項目はCMAscore、VASで計測しました。
- Constant Murley Assessment scoreの略
- 痛み、ADL、ROM、筋力の4つの要素から100点満点で採点するもの
- 検者内、検者間信頼性が高い評価である
それでは結果に移っていきましょう。
- 運動+電気鍼群、運動+干渉波群ともに無治療群よりもCMAscore、VASともに有意に良好な結果となった。
- 運動+電気鍼と運動+干渉波群とはCMSscore、VASともに有意差は認めれられなかった。
グラフで見ると、CMAscoreは
となり、VASは
のような結果となりました。
無治療群は5週目より、治療を始めたため、それ以降のデータを取ることはできませんでした。(倫理的に)
これをみて見ると、電気鍼や干渉波は運動と組み合わせるとかなり効果があるってことがわかりますね。
10セッションの実施で40%近く改善するというのは見逃せない結果だと思います。
ただし、コントロール群の設定が気になりますね・・・
コントロール群が無治療なので、ひょっとしたら運動がものすごい効果を持っていて、電気鍼や干渉波は全然効果がなかったという可能性が否定できないわけです。
もし、コントロール群が運動群みたいにもう一個あったらさらに面白い結果になったかもしれません。
どちらにしろ、凍結肩の患者さんに『運動+電気鍼』『運動+干渉波』は有効であるという結論となりました。
電気鍼は理学療法士はできないので、我々がやるとしたら『運動+干渉波』になりますが、試してみる価値はありそうです。
ご覧いただきありがとうございました。
参考文献
CHEING, Gladys LY; SO, Eric ML; CHAO, Clare YL. Effectiveness of electroacupuncture and interferential electrotherapy in the management of frozen shoulder. Journal of rehabilitation medicine, 2008, 40.3: 166-170.