理学療法士のこうすけです。
今回は慢性腰痛に対してスタビリティトレーニング、下肢・体幹のストレッチウォーキングが慢性腰痛に効果があるかを検証した研究を紹介します。
これは、2019年に韓国のBobath Children’s Clinicが行ったRCTでして、
60人の20歳以上の慢性腰痛患者(3ヶ月以上間欠的な腰痛が続く状態)をストレッチ群、ウォーキング群、スタビリティトレーニング群、スタビリティトレーニング群+ウォーキング群の4つに分けてその効果の違いを検証したものです。
介入は週5回、個々のエクササイズは30分実施(スタビリティトレーニング群+ウォーキング群は2つで60分)、6週間実施しました。
ストレッチ群は以下の腹筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、大腿筋膜張筋、梨状筋、腰方形筋のストレッチを実施しました。
ウォーキング群はabdominal bracing(お腹に力を入れた状態)で速歩を30分実施しました。
スタビリティトレーニング群は、痛みや運動が遵守できているかをCHECKしながらトレーニングレベルを決定し、5分間のストレッチを行った後25分間のスタビリティトレーニングを実施しました。項目は以下の通りです。
スタビリティトレーニング+ウォーキング群は60分かけて両方の運動を実行しました。
では結果はと言いますと
- 運動時の痛みは6週間のプログラム後4グループ全てで減少した
- 安静時の痛みはストレッチ群、スタビリティトレーニング群で減少した
- 運動時間はスタビリティトレーニング群で増加した
- 薬物使用頻度はストレッチ群で減少した
- 運動頻度はスタビリティトレーニング群、ウォーキング群で増加した
- 運動介入後6週の痛みはグループ間で差はなかった
のようになりました。
とりあえず、どれをやっても効果はありそうですね。
また、この研究では体幹の伸展筋力も測定しており、スタビリティトレーニング群やウォーキング群において筋力向上が認められており、脊柱起立筋の筋力と慢性腰痛との関連も言われているため、そのトレーニングとしての効果も出ているようです。
ただし、スタビリティトレーニング+ウォーキング群は遵守が難しい(60分も運動できない)という結果も出ておりますので、ひとまず30分程度を目標に遵守が可能な運動を患者さんと相談しながら実施していくと良いのではないかと考えています。
また、この論文で紹介されているストレッチやトレーニングは具体的でイラストもあり、非常にわかりやすいので、介入方法を迷った時にもそのまま使える方法になりますね。
参考になれば嬉しいです。
ご覧いただきありがとうございました。
参考文献
Suh, Jee Hyun, et al. The effect of lumbar stabilization and walking exercises on chronic low back pain: A randomized controlled trial. Medicine, 2019, 98.26.